星輝く空





今日も星が空に輝いている。
満天の星空だったり、一番星が輝いていたり、夜空はとても忙しそう。
毎日のように月が遊びに来て僕たちを見守っている。
人間は星にそれぞれの願いを願う。
僕たちは…僕は、願う。
そんな人間になりたいと。
たとえ叶わぬ願いだとしても、願うだけなら…きっと僕の自由だ。
今日もどこかで誰かが星に願ってる。
星降る夜に、気紛れは起こった。







いつだって、僕は暗く心地よい闇から地上を見下ろしていた。
夜になった地上では、生き物たちは静かに時を過ごしている。
いつだって、僕はそれを眺めている……はずだった。






「………あれ?」





なんでココに?
頭上には満天の星空。
足元には風にそよぐ柔らかな草。
僕は、立っていた。





「………あれ?」





どうしてこんなことに?













「そうか―――――僕が願ったんだ。」








星の兄弟たちが遠くから光を投げかけてくる。
僕はそれに応えようと、精一杯手を振る。
夜の闇に紛れ僕は不思議な気持ちでいっぱいだった。



ふと、



そこに誰か佇んでいた。
一度だけ会ったことがある。



黒の神様。



夜と闇…すべての黒を司る。
とてもとても、綺麗な方。
そこで僕に優しく笑いかける。



「どうして…。」



ふわり、と抱きしめられる。
僕の言葉は遮られ、暖かな温もりに包まれる。





「おやすみ。」
心地よい音が響いて僕を眠りへと誘った。







朝。初めての朝。
太陽はこんなにも眩しくて、こんなにも暖かかったのか…。
鳥たちは歌いだし、大地は息を吹き返す。
キラキラと朝日に輝く命の輝きが美しくて素敵だ。



ところで…
「ココはどこ…?」
僕はベッドの上にいた。
確か、夜は草原にいたはずなのに。
それに、黒の神様はどこへ行ったのだろう。
それと、どうして僕は人間になっているんだろう。



う〜ん、うう〜ん…。
首を傾げて考えたところで分からなかった。
僕が……願ったからだよね?
う〜ん、うう〜ん。
「わかんな……」






「おはよう。」





え?



「…お、おあよ。」
慌てて言ったものだから噛んでしまった。
恥ずかしい。
両手で顔を隠して俯いていると、小さな笑い声が聞こえてきた。
指の隙間から覗いてみる。
すこし離れたドアのところに青年が立っていた。
灰色がかった綺麗な黒髪の青年。
どことなく、黒の神様みたいだと思った。
「ああ、ごめん。驚いた?…そりゃそうでしょう、って顔してるね。」
ごめんね。
くすくすと笑いながら青年は言う。



あぁ、綺麗だ。
夜しか知らない僕にはその笑顔も朝日もとても眩しくてしょうがなかった。



「ほら、ご飯が出来たから……おいで。」
僕の手を引く。
温かい手だった。





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