星輝く空



11




えっと、まず、順番よく考えよう。
最初は「何かわかりそうだったもの」だな。
うう〜ん。状況的には、セイと「さらだ」を食べて……おいしかったから名前をきいて…それでそれで、セイの笑顔がきれいで…… そこで僕は赤くなって……その理由を考えていたんだっけ…?どきどきする理由…。
セイがきれいだから、でもなく…やさしいから、でもなく…。
頭撫でてくれたから…?笑顔がすてきだったから…?
それでどきどきするのか……?
これだけじゃあわからない…。じゃあ、どきどきするのはどんなときだろう?
えーっと、走ったあととか、セイが笑ったときとか、息をずっと止めたときとか、恥ずかしかったときとか、わくわくしたときとか…… うーん、他には…無いかな…。走ったときとか、息を止めたときはからだがつらくてどきどきするのだろう…だからこのときのどきどきは違う。 恥ずかしいときとかわくわくしたときは気持ち…感情がそうさせるってセイが言っていたからそうなんだろう。
それじゃあ…セイが笑ったときは?
えっと、運動じゃ…ないし、感情…?どんな?わくわく?恥ずかしい?
それはなんだか違うような…もし、感情だとしても…もっと違う別の何か…。
どきどきがただ激しいだけではなくて、もっと大きく…心臓がはっきりとわかるような…そんな……でも、よくわからない。
じゃあ、「びょうき」なのだろうか。
本で読んだ「びょうき」は熱がでたり、どこかが痛くなったりするという…僕にはよくわからなかった。
僕にはよくわからなかったから…もしかしたら…どきどきがする「びょうき」があるのかもしれない。 でも、ほんとうに「びょうき」だったら大変だ。
「びょうき」じゃありませんように、と僕は祈る。
ってことは、なんかの感情か、「びょうき」かどちらかでいいんだよね…?
もうひとつの考えたけど…「わかりそうだったもの」は全くわからなかった。
あの一瞬を逃したから、たぶん、あの状況の何かがヒントになっているのかもしれない…が、今その状況じゃないからわかりそうもない。



それじゃあ次!
…あれ!セイが「すき」と言ったのが冗談だと思ったこと……だったよね…?
うん。たぶん、そうだった。そうそうそれ。
冗談だと思い込もうとした理由はなんとなく。えっと、そんなことありえないと思ったから。うん。そう思っていたと思う。 でも、一番の問題が…そもそも僕は「すき」ということを知らない。なんだろそれ。 たぶん…じゃなくてもこの言葉が一番重要になるはずなのに…。ああああぁ!!
僕のばか!べんきょうぶそく!
「すき」ってなんだよ…わかんないよ…セイぃ〜。僕にはわからないぃ。 もっとやさしい言葉で言わなきゃ僕、まだべんきょうぶそくだからわかんないよお。
セイ…あのとき…口調はからかっているみたいだったけど………でも、目が……目が…真剣だった…。真っ直ぐに僕を見ていた。
はぁー。
それじゃあ…僕、きっと失礼なことした…。真剣だったのに…言葉がわからないから…セイが伝えたかったこと無視したのと同じだ。
はぁー。
もういちど溜息をついてから僕は考える。
ひとまず、「すき」についてはあとで「じしょ」で調べよう。


で、次!
なんで「セイがいないとさびしいのか」だね。
一番先に思いついたのが、いつもセイがいっしょにいるから。
いつもいる人がいないとやっぱり静かになるし…なんだかさびしい…だもん。
セイが僕に声をかけてくれるから…セイが僕に笑いかけてくれるから…僕はいつもさびしくない。
でも、今、いない。
一人ぼっちの家の中はとても広くてさむい。
セイ……。いつもいつも僕のこと気にかけて…僕がひとりにならないように…僕がさびしくないように……… そんなセイの優しさにも気づけなくて…。
ほんと、僕はなさけない…。












………じゃなくて、僕がセイといつもいっしょにいるから、ひとりはさびしいのか……。



それじゃあ、「じしょ」でしらべますか。



大切…だと思われるあの言葉。



「すき」とはなにか?





わからないけど…。想像つかない…。













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