星輝く空



16




痛いのが苦手、暴力は…という人がいましたらすみませんがお避けください。




「……っぁ…ぃゃ……たすけ、……ぉね、が…。」



僕の口から言葉がこぼれる。
それにも気づけないほど僕は男から目が離せない。
離したら一貫の終わりのように感じたから。
そうでなくても、僕は無傷では…もう…望みは無い。
歪んだ口元がさらに醜く歪んでいく。



「あ、そび、ま、しょ!」



くすくす聞こえた。



男が笑っているのが見えた。
その後ろにいる他の男たちに視線で助けを求めたがどちらも興味無さそうにこちらを眺めているだけだ。
こわい、いや、セイ――――






「ぐはぁっっ!!…ごほっ、うっ!……ああぁ!!!たす…。」



セイ――
呼んでも、呼んでもセイは来てくれない。
いたい。たすけて。だれか…おねがい…。



蹴って、蹴って、蹴られた。
舌を噛んで血が出ても、鼻血が出ても、叫んでも。蹴られた。
いたい。いたい、いたい。いたいいいいいい!!!!!!!!
あああぁぁぁっ!!
僕が今どこでどうなっているかなんてどうでもよかった。
僕の感情なんてどこにあるのかもわからなかった。
ただ、いたくて。
いたくなくなりたくて。
叫んで、お願いして、泣いた。
おねがい、いたくしないで。
たすけて。たすけて。たすけて。たすけて。たすけて。たすけて。たすけて。たすけて。たすけて。 たすけて。たすけて。たすけて。たすけて。たすけて。たすけて。たすけて。たすけて。いたい。いたいよ。
だれか、たすけて。おねがい。
いたい、いたいの、いたくていたくて。いたいんだ。



「…っう、あ、ああああああああ!!!!!!」



喉が裂けたのか、舌を噛んだのか…わからないぐらい口の中が血の味。
どのぐらい蹴られたのか、どれぐらいの怪我なのかわからなかった。
自分がどうしてこうなったのか。だれに助けてほしかったもわからなかった。
今の状況も。セイのことも。忘れ……。
とにかく痛かった。痛みだけが僕のすべてだった。


















僕はひゅーひゅー鳴る喉に気づいた。
それで僕が死んでないことがわかった。
痛い。どこもかしこも痛い。
激痛で呼吸することすらつらい。



ぼんやりとした視界に3つの影がある。
影が近づいて来て僕を引っ張り上げる。
痛かったけど、痛すぎて文句すら言えなかった。
そのまま引きずられて移動する。
ぼんやりした視界ではここがどこなのかもわからない。
とつぜん手を離されて頭を強く打つ。
朦朧とした意識ではうまく現実が把握できない。
僕はどうなるのかな……。
また引きずられる。
擦られてる脚がいたい。



「隊長ぉ。このへんでいいっすかぁ?」



無造作に投げられて、顔から土に突っ込んだ。
ああ…。土…外に、出されたのか……。



「しっかしねぇ…こんなやつが…まさか、んまあでも寧ろ…見た目…いいから…かなぁ?ねえぇ隊長ぅ。もう、始末しちゃいますよお。」



僕を散々蹴り上げた男が声を弾ませて言う。
隊長と呼ばれた男はなにも答えない。
もう一人の男はずっと黙っている。



僕は顔を上げて3人の男たちを見る。ぼやけた視界でははっきりと彼らの顔を見ることはできない。
全身が重くて、なにか忘れているようで…。
僕は首を傾げて隊長と呼ばれる男を見る。



『ねえ、僕は…どうしたの…?』



記憶がとびとびだ。



僕は、にんげん…?
あれ?ほし…黒髪の…かみさま?にんげん?
ぼくは?なんで、このひとたちは?
いた、い…?どして?
きょうだいたちは?…どこ?



「…………………。」



『ねえ、しらないの?あなたは…だれ?』






「たっ、隊長っ!こ、こいつ……。」



僕にはわからない言葉で男がしゃべる。



『ねえ、なんていってるの?』






「あぁ、正解だったな。こいつが当たりだな。」



そう言った男が腰から剣を抜く。
長い刃がきらきら光っていた。
僕が覚えているのはここまで。



あと、胸の辺りに衝撃を感じた気がするが……どうだったのだろう…?



















ごめんなさい;

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