星輝く空



20




僕はいつの間にかねむってしまっていたようだ。
朝日が窓から差し込んでいた。
あ、ごはん…たべるの忘れてねむっちゃった…。
起き上がって部屋を見回したけれどセイの姿は見えない。
まだ、帰ってきていないようだ。



胸がざわつく。



右手でおさえてみるけれど、ざわつきは治まらない。



「セイ…まだかな…。」



ベッドを降りて窓から外を眺める。
もちろんセイの姿なんて見えなくて…。
唇を噛み締める。
起きたばかりだというのに気分が悪い。



ベッドにまた潜りこんで目を閉じる。
セイを心の中で呼びながら僕は意識を手放す。











くるいくるいくるうはぐるま。
その音を僕はきく。
時計の秒針のように一定のりずむをきざみきざむ。





セイとの距離は――――














くらい。
明るい星が天の、あの高く…遠いところでひとつ輝いている。
他の星は見えない。
暗い中で見える唯一の光。
きらきら瞬く。
手を伸ばしても届かない…?
あれ?
手がある。
人間の手。



僕は、星、だよね?
なんで手が…



そうか。





微かに声がきこえてる。
どこから?
……もしかして、兄弟たち…?
声が聞こえるほうへ行こうとしても動くことができない。
脚が地面にくっついているみたいだ。
もがいても、もがいても僕はそこから一歩も動けない。
なに……?
なんて言ってるの…?
声はだんだん近づいて来て…あ。
星の兄弟たちだ。
姿は見えないけれど、僕がこの声を聞き間違えるはずがない。
楽しそうに笑っている声がそこらじゅうに反響している。
僕も………。
無意識に手をのばす。
僕も………。





不意に後ろにひっぱられる。
ふりかえるとそこに闇が。
黒い闇。
形がある闇。
真っ黒な顔で僕を見る。



目なんて無いのに視線だけが僕に突き刺さる。
非難しているような…見下しているような……。
まるで汚いものを見るような…………。
視線で僕を罵っている。
こわくなって…けど、目を離そうにも離せない。
離したくても離せない。
その闇に囚われてしまったみたいな。



星の兄弟たちの笑い声が響いている。
闇が僕を非難している。
僕は動けない。
こわい。





真っ暗な中で星がひとつ輝く。





星の光は小さくて、弱くて、僕には届かない。






たすけて…!
声にならない叫びをあげて僕は目を閉じ………。





「…すばる。」





セイ…?



その声に目を開く。
その声は……。
僕の目にセイがうつる。
いつもと変わらない姿。微笑み。優しい眼差し。



セイ!





「すばる……。」



何…?





「…すばる……すばるは…嘘つきだったんだね。」



え……



「俺、ごめんだけど…きみとはもう……。」



なんで……



「この際だからはっきり言うよ。」



気づけばセイの瞳が驚くほど冷たくて…











「あんたのこと前からキライだったんだよね。」














≡(/-Д-)/ヒエー


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