星輝く空



21



痛いのは…という人がいましたらすみませんがお避けください。





え…?



セイ…いま、なんて……?






「聞こえなかったの?それとも…もう一回聞きたいの?」



僕を見る目は氷のようにつめたい。



「俺、あんたのことキライって言ってるんだよ。」



うそ…
じんわりとセイが霞む。



「…はっ!…そう、それ。そうやっていつも泣いてばっかりでさ、可愛いんだよ、可哀想なんだよってアピールしている感じとか…」



「うんざり、なんだよね。」



うそ……うそ…



「最初見た時からこいつとは合わないってことはわかってたけどさ、まさかここまでとはね…俺も予想できなかったよ。」



「もうほんとに最悪の気分だね。うざいからさ…」





セイの口元が歪む。



「あんた、消えろよ。」













せ、い……?
なんで、な、んで…そんなこと、言うの…?
視界がひどく歪む。
僕、ぼく、なにかした?
セイがいやなことしちゃったの?
謝ってもゆるしてくれないの?



セイを真っ直ぐに見る。
いつものセイがほんとはそこにいるんじゃないかと思って。
いつものように優しくしてほしくて。



けど……



「…俺が消してあげようか?」



ひどく歪んだ笑みで僕をみる。



「ほら、こっちにおいでよ。」



いつもと同じ言葉を違う響きで言う。
セイの右手にはいつの間にか包丁が握られていた。
その意味をようやく僕は理解する。
その時にはもう遅かったけど。



セイに手首を掴まれ引き寄せられる。セイの冷たい左手。
その胸に飛び込むように――――――



包丁の先が僕を貫く。
衝撃が体を震わせる。



痛みの衝撃なのか、セイに刺されたという衝撃なのかわからなかった。



ぴったりとセイの胸に寄り添う。
僕の背中からは包丁がとび出していた。
震える腕をのばしてセイの背中にまわす。
もう、何も見たくなかった。



冷たい、けど……セイの温もりがほしくて一生懸命にしがみつく。



最後にと。



「セイぃ……僕ね、言い忘れていたことが、あるんだ……」



自分の体がとても重い。







「…っぼく、セイ―――――」



視界が黒に飲み込まれる。
暗い。







無音。

















「すばるぅー。まだ寝てるのぉ?」





え…?



セイ…?



「そろそろ起きてごはん食べようよ。」



少し離れたところからセイの声が聞こえる。
かちゃかちゃと食器の音も。
こんそめすうぷのいい匂いも。





え、っと…。





「どうしたの?すばる?起きてるなら返事ぐらいしてよ。」



扉の軋む音とともにセイの声が近くなった。
僕の視線は固定されている。
見えるのは天井らしき木目だけ。
少し首を動かせばたぶん…セイが見えるのだろうけれど、こわくて見れない。



「すばる…?」



………。



「どうしたの…?」





「痛いの…?」



首を振る。
髪の毛が顔にかかる。



「怖い夢でも見た?」





「…ねぇ、どうして泣いてるの……?」





泣いて……る…?
僕が…?






「あ、れ……?」





手をやれば指先が濡れる。
僕。
泣いてるの?



「すばる……。」
心配そうなセイの顔が僕の顔を覗き込む。



視界がぶれる。



手を伸ばしたい。
あれは嘘だったと言ってほしい。
触れてしまえばどっちが嘘でどっちが本当かわかってしまうからこわい。
今が嘘なら……。



「泣かないで、すばる。」



大きな手が頬を滑る。
あたたかい。





「せぃ……ふぇ…っ…。」



その温かさ包まれればもう我慢ができない。





「こわっ……こわい、ゆめ、みたの……。」



「夢?」





「ぅん…。」



「そっか…でも、もう大丈夫だからね。」



セイの大きな手が僕の頬を包む。
涙が流れたそこはとてもあつかったけど、セイが冷やしてくれるような気がした。
嘘だと思いたくないから…。
僕は黙って俯いていた。



セイの表情なんて知らずに。












再び、
≡(/-Д-)/ヒエー



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