星輝く空







うう〜ん。
眩し。



ってあれ?
もしかして、朝?
いつの間に僕は寝ていたんだろう?













「おはよ。」



焦点が合わないほど至近距離であいさつされた。









今……気づいた。
僕、また素っ裸。









顔が赤いことは言われなくてもわかってる。



ただ、青年がすぐ近くにいることだけがとても気がかりだ。
だって…昨日、黒の神様が言ったんだ。
人間は恋をするって。





僕は人間?









もうお昼前。



「そういえば、まだ名乗ってなかったね。」
青年は紅茶を注ぎながら言う。
お昼ご飯の支度中。
僕はベッドの上で座って待ってる。



「俺の名前はセイ。君は?」



「僕…?僕は――――わかんない。」



名前…僕には無い。
そうか……人間には名前があるんだった。
星の兄弟と一緒にいるときはそんなこと考えなかった。
名前…僕もほしいな。





「名前…無い……」



星であった僕には必要なかった…名前。






「なら、俺がつけてやるよ。」
僕の頭を撫でながら言った。
大きな手。
温かい手。



「そうだな……」







「すばる。」



どうかな?って顔を覗き込まれる。



すばる。
いい名前。
素敵な響き。
僕はすごく気に入った。



「うん!」



「すばる…。」



「うん!」



僕はセイの呼びかけに答える。
なんだか、落ち着かない。
名前…嬉しい、恥ずかしい、どきどきする。
セイに呼ばれるだけでなんだか嬉しい。
どうしてかな?



「ねぇ、すばる。…すばるってさ、もしかして…服着るの嫌い?」



「ふぇ?」



「だってさ……俺が見るたびに……すばる、何も着てないし…」





ええ!?
なんだって!!
僕は…………裸でベッドの上にいた。
ど、どどど…どうしよぉ。
変な奴と思われたかもしれない。
ううううぅぅー。
どうして、僕は何も着てないんだ…。
昨日ちゃんと黒の神様から必要なもの一式すべて貰ったのに…。
服着て寝るの忘れてた………。
あぁー―。



「いや、あの…その……そういうわけじゃ…」



「それじゃあ…どうしていつも裸?」



ううぅ。
なんて言えばいいんだろう。
口をぱくぱくさせるだけの僕。






「すばる……可愛い。」





ぎゅっと抱きしめられる。
セイの心臓の音が聞こえる。
僕は、変だ。
セイが抱きしめてくれて、すごく嬉しい。





『僕からセイに祝福を。』





星の言葉を口にする。



「え?今、なんて…」



「んー。なんでもない。」
僕はセイに言った。
セイの困った顔。
僕は笑った。
抱きしめられながら人間であることの幸せを噛締める。






とりあえず、僕は服を着ることにした。







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