星輝く空
3
うう〜ん。
眩し。
ってあれ?
もしかして、朝?
いつの間に僕は寝ていたんだろう?
「おはよ。」
焦点が合わないほど至近距離であいさつされた。
今……気づいた。
僕、また素っ裸。
顔が赤いことは言われなくてもわかってる。
ただ、青年がすぐ近くにいることだけがとても気がかりだ。
だって…昨日、黒の神様が言ったんだ。
人間は恋をするって。
僕は人間?
☆
もうお昼前。
「そういえば、まだ名乗ってなかったね。」
青年は紅茶を注ぎながら言う。
お昼ご飯の支度中。
僕はベッドの上で座って待ってる。
「俺の名前はセイ。君は?」
「僕…?僕は――――わかんない。」
名前…僕には無い。
そうか……人間には名前があるんだった。
星の兄弟と一緒にいるときはそんなこと考えなかった。
名前…僕もほしいな。
「名前…無い……」
星であった僕には必要なかった…名前。
「なら、俺がつけてやるよ。」
僕の頭を撫でながら言った。
大きな手。
温かい手。
「そうだな……」
「すばる。」
どうかな?って顔を覗き込まれる。
すばる。
いい名前。
素敵な響き。
僕はすごく気に入った。
「うん!」
「すばる…。」
「うん!」
僕はセイの呼びかけに答える。
なんだか、落ち着かない。
名前…嬉しい、恥ずかしい、どきどきする。
セイに呼ばれるだけでなんだか嬉しい。
どうしてかな?
「ねぇ、すばる。…すばるってさ、もしかして…服着るの嫌い?」
「ふぇ?」
「だってさ……俺が見るたびに……すばる、何も着てないし…」
ええ!?
なんだって!!
僕は…………裸でベッドの上にいた。
ど、どどど…どうしよぉ。
変な奴と思われたかもしれない。
ううううぅぅー。
どうして、僕は何も着てないんだ…。
昨日ちゃんと黒の神様から必要なもの一式すべて貰ったのに…。
服着て寝るの忘れてた………。
あぁー―。
「いや、あの…その……そういうわけじゃ…」
「それじゃあ…どうしていつも裸?」
ううぅ。
なんて言えばいいんだろう。
口をぱくぱくさせるだけの僕。
「すばる……可愛い。」
ぎゅっと抱きしめられる。
セイの心臓の音が聞こえる。
僕は、変だ。
セイが抱きしめてくれて、すごく嬉しい。
『僕からセイに祝福を。』
星の言葉を口にする。
「え?今、なんて…」
「んー。なんでもない。」
僕はセイに言った。
セイの困った顔。
僕は笑った。
抱きしめられながら人間であることの幸せを噛締める。
とりあえず、僕は服を着ることにした。