星輝く空
34
そう、わからない。
嘘をついてないなんてどうして言える?
口の中は血の味で沢山だ。
いろんなところが痛い。
セイが裏切らないなんてどうして言える?
こんなに僕は邪魔な存在なのに。
裏切られた。
☆
時々、野菜とかを差し入れに持ってくるお兄さんがいた。
セイの友達のようでセイとしゃべっているのを見かけたこともある。
ある時、そのお兄さんは昼に来たんだ。僕しかいない昼。セイが家にいないことは知っているはずなのにこの時間に来た。
最初は不審に思って隠れていたんだけれども、ある日、裏庭でぱったり会ってしまったんだ。
不意打ちすぎて僕は隠れることも忘れてその場に固まってしまったんだ。
「綺麗なひとだね。」
彼はそう言ったんだ。
金色の髪、琥珀の瞳。ここの住民には奇異なものに映るはずなのに彼はそう言った。にっこり笑って僕の方に近づき手を伸ばす。
恐怖で震えて動けない僕に触れ、抱きしめた。
「怖がらないで…?」
それでもガタガタ震えている僕に優しく語りかける。
優しく、優しく。
そう、それから少しずつではあるが心を開いていった。
セイの友達でもあるし、それに、ちょうどその時セイとぎくしゃくしていた時期でもあったから。僕が彼を信用するのは早かった。
彼の名前はシュウ。
シュウは昼になると僕を訪ねてきてくれた。
シュウは栗色の髪に栗色の瞳でセイとは違うんだなって思っていつも近くで眺めていた。シュウは優しかった。
初めて会った時も誰にも言わないでくれたし、面白い話もしてくれる。そのかわり、セイに会って話していることは秘密だって……。
話したら会えなくなるからって…。だから、僕は秘密にしていたんだ。シュウと僕とのふたりだけの秘密。
それが裏目に出るなんて思っていなかったんだ。
ある日、訪ねてきたシュウは普段とはなんだか雰囲気が違っていた。
怒っているのかシュウはずっと黙ったままだし僕もこれといって話すこともないので沈黙が続く。
そんな状況であることに落ち着かない僕だけど、この状況を打開するアイディアもなくただもぞもぞしていた。
「ね。」
先に口を開いたのはシュウ。
「すばる、って何でセイと暮らしてんの?」
「え?……えと、なんでって…」
いつもと同じようにテーブルに向かい合って座り、僕はお茶を出す。
突然の質問に詰まる。何でなのか…どう答えたらいいのかわからなくて机を見つめていた。
「すばるはセイと寝てるの?」
「へ?うん。いつも一緒に寝てるよ…?」
「ふっ…くは、あははは!!」
僕はおかしなことを言った覚えはないんだけれどシュウ、笑ってる…。
「違う違う!そうじゃないんだよ…ふはは!!そりゃ、アイツも手ぇだせないってことか!!
こんな天然ちゃんとは…いいね…………ハツモノならオレがヤッちゃうか…ふふ。」
「シュウ???」
「何にもわかんないですって顔もそそるもんだね。すばる、キモチイイコトしようか…。」
シュウは立ち上がって僕の傍で屈む。耳元で低く囁く。
ぴくん、と反応した僕に気を良くしたのか手を引っ張り寝室に連れて行く。何がどうなっているのかわからないままベッドに押し倒された。
「シュ、シュウ??」
見上げるシュウの顔はなんだか怖くて僕は懇願するように見上げた。
「イイね…その顔。早く僕を犯してくださいって言ってるみたい。ほら、大丈夫、すぐに突っ込んで気持ちよくさせるから、さ。」
え?
おかす…
犯すって…
シュウ、まさか冗談だよね……?
「おやおや、今更になって気がついたって訳?残念だったね。冗談なんかじゃあないよ。
最初から…そう、最初からお前を犯しかったんだからさぁ。自分からおねだりしちゃうくらいたくさん犯してやるよぉ。」
「や、やぁっ!!」
もがいてそこから逃げ出そうとするけれど僕より大きいシュウに敵う訳もなく。手を振り回そうとしても頭上に掴みあげられて。
叫ぼうにも、見つかる訳にはいかないから……それにここは村の外れ。叫んだところで誰も気づかないだろう。絶体絶命だ。
「助けてっ!助けてセイっっ!!!!!」
「…………。セイの名前を呼ばないでくれる?ムカつくんだけど。」
「――――――!!!!!!!」
衝撃とともに血の味が口の中に広がる。
頬が痛い。
助けて!!
何度も何度も殴られているうちに僕は抵抗もできなくなって…。
静かに涙が流れる。
おねがい、たすけて。
「ほら、オレの名前を呼べよ。」
「……………………………しゅう。」
大きな手で僕の頭を撫でる。
「イイコだね。」
ぞっとするほど綺麗な笑みを浮かべて僕にキスをした。
次回、制限!!